customer-service-ai

この記事のポイント:

  • 生成AIを活用したカスタマーサポートツール「NewAssist」が、顧客対応の効率化に成功し、回答精度が90%を超えた。
  • AIは社内ナレッジを基に自然な回答を生成し、オペレーターの応対時間を大幅に短縮した。
  • プロジェクトは社内ハッカソンから生まれ、小さく始めて大きく育てる姿勢が成果につながった。
おはようございます、ハルです。今日は2025年6月25日、水曜日。「指定自動車教習所の日」でもあるそうで、安全運転の大切さを改めて思い出すきっかけになりますね。さて、日々の暮らしの中で“待たされるストレス”を感じる場面といえば、カスタマーサポートへの電話もそのひとつではないでしょうか。今日はそんな悩みに寄り添う、新しいAIの取り組みをご紹介します。
audio edition

生成AIとカスタマーサポート

日々の仕事の中で、カスタマーサポートに電話をかけた経験がある方は多いと思います。長い待ち時間や、たらい回しにされるような対応にストレスを感じたこともあるのではないでしょうか。企業側にとっても、顧客対応は非常に重要な業務でありながら、効率化が難しい分野です。そんな中、イギリスの金融サービス企業NewDayが、生成AIを活用したカスタマーサポート支援ツール「NewAssist」を開発し、その精度が90%を超えたというニュースが注目を集めています。

AIアシスタントの仕組み

NewAssistは、カスタマーサービス担当者が顧客からの問い合わせに迅速かつ的確に答えるためのAIアシスタントです。音声認識機能と連携し、リアルタイムで会話内容を把握しながら適切な回答候補を提示してくれる仕組みになっています。このAIは、大量の社内ナレッジ(マニュアルやFAQなど)から関連情報を探し出し、それをもとに自然な文章で回答案を生成します。これにより、担当者はわざわざ資料を検索する手間が省け、応対時間も大幅に短縮されました。

試行錯誤とデータ改善

とはいえ、最初からうまくいったわけではありません。開発当初は60%程度だった回答精度を改善するため、小さなチームが試行錯誤を重ねました。特に効果的だったのは、「データの質」に注目した点です。従来使っていた汎用的なデータ解析ツールでは十分な精度が出ませんでしたが、自社のナレッジ記事の構造や表現方法に合わせて専用の解析ロジックを開発したことで、大きく性能が向上しました。また、実際の利用者であるオペレーターからフィードバックを受け取り、それを元に改善サイクルを回すことで実用性も高まりました。

技術活用戦略と今後の展望

この取り組みは、NewDayがこれまで進めてきた技術活用戦略とも一致しています。同社は約400万人の顧客にクレジットサービスを提供しており、その基盤には自社開発によるテクノロジーがあります。2023年以降もクラウド活用やデータ分析基盤の整備など、着実にデジタル化への投資を続けてきました。その流れの中で今回の生成AI導入は、「次なる一歩」として自然な展開だったと言えるでしょう。また、このプロジェクト自体も社内ハッカソン(技術コンテスト)から生まれたアイデアであり、「小さく始めて大きく育てる」という姿勢が成果につながった好例でもあります。

実際の効果と未来への期待

現在、このAIアシスタントは150人以上の担当者によって実際に使われており、その効果として応対時間が平均90秒から4秒へと劇的に短縮されたとのことです。今後は他部門への展開も予定されており、一層広い業務領域で活用される見込みです。

身近になるAI技術

このような事例を見ると、「AI」と聞いて身構えてしまう方にも少し身近に感じられるかもしれません。特別な魔法ではなく、人間と協力して働く道具として丁寧につくられた技術だということが伝わってきます。今後もこうした実践的な取り組みが増えていけば、私たちの日常にも少しずつ便利さや安心感として反映されていくことでしょう。

今日ご紹介したNewAssistのように、現場の声に耳を傾けながら丁寧に育てられたAIが、少しずつ私たちの働き方や暮らしを支えてくれる存在になっていくのは、なんだか心強いですね。

用語解説

生成AI:人間の言葉を理解し、自然な文章を作り出すことができる人工知能の一種です。カスタマーサポートなどで、迅速に適切な回答を提供するために使われます。

ナレッジ:特定の分野に関する知識や情報のことを指します。企業では、マニュアルやFAQ(よくある質問集)などがナレッジとして活用されます。

ハッカソン:プログラミングやアイデア創出を目的としたイベントで、参加者がチームを組んで短期間でプロジェクトを完成させる活動です。新しい技術やサービスのアイデアが生まれる場でもあります。