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この記事のポイント:

  • Parcel Performが生成AIを活用し、ビジネスチームが自然な言葉でデータを取得できる新しいアプローチを導入した。
  • AIアシスタントは、業務知識を理解しながらSQLクエリを自動生成し、迅速な情報提供を実現している。
  • 成功の鍵は技術の活用だけでなく、人間中心の業務フローへの適応にあることが強調されている。
おはようございます。ハルです。本日は2025年7月19日、今日は「やまなし桃の日」だそうです。夏の果物といえばスイカやメロンもありますが、みずみずしい桃もこの時期ならではの楽しみですね。さて、今日ご紹介するのは、そんな季節とは少し離れた話題ですが、企業の現場で起きている「データ活用」の進化についてです。
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生成AIとデータ活用の課題

企業の意思決定において「正確なデータを、必要なときにすぐ使えること」は、もはや当たり前のようでいて、実現が難しい課題です。特に顧客対応を担うビジネスチームでは、「今すぐ知りたい」「でもデータチームに頼まないとわからない」といったジレンマが日常的に発生しています。そんな中、世界中のEC事業者向けに配送体験プラットフォームを提供するParcel Performが、生成AIを活用してこの課題に挑んだ取り組みが注目されています。

Parcel Performの新しいAIアシスタント

Parcel Performは今回、新たに「テキストからSQLを自動生成するAIアシスタント」を導入しました。これは、ビジネスチームのメンバーが自然な言葉で質問すると、その内容をもとにAIが裏側で適切なSQLクエリ(データベースへの問い合わせ文)を作成し、必要な情報を即座に返してくれるという仕組みです。たとえば「先週、配送遅延が多かった地域はどこ?」と入力すれば、その答えとなるデータが数分以内に表示されます。

高度な仕組みの特徴と技術基盤

この仕組みの特徴は、単なるチャットボットではなく、Parcel Perform独自の業務知識や物流用語の意味まで理解した上でSQL文を生成できる点です。これは、Amazon BedrockというAWSの生成AI基盤と連携しながら、LangGraphというワークフロー管理ツールを使って構築されています。また、大量の配送イベントデータはAmazon S3上に蓄積されており、高速かつ柔軟な分析が可能になっています。

注意点と工夫について

一方で、このような高度な仕組みには注意点もあります。たとえば、「ABC」という社名で検索した場合、「ABC Holdings」や「ABC Demo」など複数の類似名がヒットしてしまう可能性があります。このような曖昧さにはAI側で補足情報を加味して判断する工夫が施されています。また、大量データへの無制限なクエリ実行による負荷増大にも配慮し、自動的に結果件数を制限する設計になっています。

段階的進化と業務負担軽減

この取り組みは突然始まったものではありません。Parcel Performは以前からAWSとの連携を深めており、2023年にはAmazon SageMaker Studio上でプロトタイプ開発を進めていました。その後も段階的にテストと改善を重ねながら、本番環境への導入へとつなげています。この流れを見ると、一貫して「業務現場の負担軽減」と「迅速な意思決定支援」を目指してきたことがわかります。

人間中心の業務フローとは

今回の発表は、その延長線上にある自然な進化とも言えるでしょう。生成AIという新しい技術要素を取り入れつつも、それを単なる流行としてではなく、自社の課題解決手段として着実に活用している姿勢が印象的です。

私たちへの学びと示唆

まとめとして、この事例から見えてくるのは、「AIだからすごい」のではなく、「人間中心の業務フローにどう馴染ませるか」が成功の鍵だということです。Parcel Performは、技術だけでなく運用面やセキュリティ面にも丁寧に配慮しながら、新しい働き方への道筋を描いています。私たちもまた、自分たちの日々の仕事やチーム内コミュニケーションについて見直すヒントとして、このような事例から学べることが多いかもしれません。

今日ご紹介したParcel Performの取り組みは、生成AIをただの技術としてではなく、現場の悩みに寄り添う道具として丁寧に活かしている点がとても印象的でしたね。私たちの仕事にも、「知りたいことにすぐアクセスできる」環境が少しずつ広がっていくといいなと思います。それでは、また次回も穏やかな気持ちでお会いしましょう。

用語解説

SQL:データベースに対して情報を問い合わせたり、操作したりするための言語です。例えば、特定のデータを取り出したり、更新したりする際に使われます。

生成AI:人間が入力した情報をもとに、新しい文章やデータを自動的に作成する技術です。例えば、質問に対して適切な回答を生成することができます。

AWS:Amazonが提供するクラウドサービスのことです。インターネット上でデータを保存したり、アプリケーションを運営したりするための便利なサービスが揃っています。