Geminiって、こんなAI

  • アメリカの「Google(DeepMind)」が開発し、前身の「Bard」は2023年3月に、Geminiは2023年12月に登場しました。
  • Google検索との連携が得意で、情報収集や翻訳、要約まで幅広くこなします。
  • Google製品を日常的に使っている人や、調べ物を効率よく進めたい人におすすめです。

Googleが送り出した、もうひとつのAI

ある日、Googleの検索画面に突然現れた、見慣れない答え方。
それは、いくつものサイトの情報をまとめて、まるで人のように一文で返してくる――そんな体験でした。
この変化の裏側にあるのが、Googleが開発した生成AI「Gemini(ジェミニ)」です。

Geminiは、私たちがよく知るGoogleのサービス――検索、Gmail、カレンダー、スプレッドシート――などと深く連携し、文章の生成や要約、画像の解析、データの処理までをひとつの流れで支援できる次世代AIです。
その名前には、“双子座”のように多才な顔を持ち、ひとつの用途にとどまらない存在になってほしいという願いも込められています。

Bardから始まり、Geminiへと進化した

Geminiの前身は「Bard(バード)」という名の対話型AIです。
Googleは2023年2月、このBardを試験公開しました。当初は「LaMDA(ラムダ)」という内部モデルをベースにしており、自然な会話や質問応答ができることが売りでした。

しかし、同年12月、GoogleはBardを廃止し、代わりに新たに開発された大規模言語モデル「Gemini 1.0」への切り替えを発表します。これを機にサービス名も「Gemini」に統一され、より高性能・多機能なAIとして再スタートを切りました。

Gemini 1.0は、Google DeepMindによって設計されました。これは、かつて囲碁AI「AlphaGo」を開発したチームが統合されてできた研究部門であり、強化学習や推論の技術がふんだんに取り入れられています。

文章だけじゃない、“マルチモーダル”なAI

Geminiの最大の特徴は、テキストにとどまらず、**画像・音声・コード・動画**といった複数の情報形式を同時に扱える「マルチモーダル」型の設計です。

たとえば、ある写真をアップロードして「これがどんな状況か教えて」と聞けば、Geminiはその画像の中身を理解して説明してくれます。あるいは、スプレッドシートを示して「この表から気づいたことを要約して」と頼めば、グラフ化や解釈を自動で行うことも可能です。

こうした機能は、メールや会議メモの作成、プレゼン資料の下書き、複雑なワークフローの補助まで、日々の業務に“そのまま組み込めるAI”として活用されています。

Geminiはすでに手元にある

Geminiは単なる「新しいツール」ではなく、すでに多くの人の手の中にあります。
たとえば、AndroidのPixelスマートフォンには「Gemini Nano」という軽量版が搭載されており、音声入力の精度向上や文章提案の支援などを端末内で行っています。

また、Google Workspace(GmailやDocsなど)では「Gemini for Workspace」として、AIによる文章提案や文書校正、予定の整理といった機能が順次展開されています。
つまり、Geminiは「特別なサイトにアクセスしなくても、いつものGoogleの中でAIが動き出している」ように設計されているのです。

加えて、2024年2月に発表された「Gemini 1.5」では、最大100万トークンという超長文の処理にも対応。数百ページのPDFも一度に読み込めるようになり、複雑な資料の分析や文書の要約といった用途に強みを持ちます。

アップデートを重ねる、Googleらしい成長型AI

Geminiは現在も進化を続けています。
2025年には「Gemini 2」シリーズが発表され、より高度な推論やタスクの自動分解(エージェント的な動き)にも対応し始めました。また、AIがどのように考えて結論にたどり着いたかを可視化する「Thinking機能」も試験的に導入され、AIとの信頼関係の構築にも配慮されています。

こうした連携力とスケーラビリティの高さから、Geminiは個人利用だけでなく、教育機関・自治体・企業での採用も進んでいます。Google Cloud経由でのAPI提供も始まっており、開発者や業務システムとの統合も視野に入れた設計がされています。

Geminiは、いつのまにか「生活と仕事の中に自然に入り込んでいるAI」として、着実にその存在感を強めています。